45章 潜在意識は現実化する

 前章では想っていることがエネルギーとなり、言葉の力によって明確に意識されて現実化するという原理を述べました。この想いということをもう少し深く考えてみたいと思います。

 想いには「現在意識」いわゆる意識と、それより更に心の底深くにしまいこまれている「潜在意識」とがあります。意識は記憶回路から更に脳内奥深くに運ばれて潜在意識となります。睡眠に例えると、起きている時間が現在意識、深い眠りに落ちた時が潜在意識というわけです。眠って無意識状態になってはいても、脳はちゃんと呼吸や内臓など生命維持に必要な働きをしています。同じ様に潜在意識は、無意識に私達の健康状態や思考や行動、もっと言えば運命をも形づくる原動力となります。

 それは短期的には表面に出てこなくても、長期間にわたって私達の行動に影響を与え続けます。そしてついには数年後あるいは数十年に現実化するという強い力をもっています。これを潜在意識の長期実現力といいます。一方、現在意識の方は短期実現力といい比較的すぐに実現します。たとえばお腹が空いたと意識すると、すぐにどこか近くの飲食店に入り食事をすることで空腹を満たすというような例です。

 ところが潜在意識のほうは、それが現実になるまでにとても長い時間がかかります。ある女性の実例があります。彼女は母親に小さい頃から虐待といってもいいほど厳しく育てらました。母は他の姉妹には優しくするくせに彼女には特別に仕事をいいつけて、しかも小言ばかり言っていました。もしかしたら母は継母(ままはは)ではないかと思うほどのひどい扱いで、いつも心の奥底は母への恨みの想いでいっぱいでした。

 そのうち彼女は早くこんな母から逃れたいと思うようになり、ついには家を出て働くことを決意しました。こうして何年もの間一生懸命仕事に励んで、母のことはもう忘れるほどに立ち直りました。すると運良くある男性にみそめられ職場結婚することになりました。本当ならこれでハッピーエンドになるところですが、実際はそう甘くありませんでした。

 結婚生活を送るようになると、今度は夫が母親と同じようにうるさく小言をいい彼女に厳しくあたるのです。彼女は何年もの間無意識にですが心の中で夫を恨んでいました。それでも彼女は健気に耐え続けました。それが妻であり母の役目と信じていたからです。

 そうこうしている内に何年もの日々が過ぎて、やがて息子が職場結婚することになりました。こうして息子夫婦との同居が始まったのです。すると今度は嫁が彼女に意地悪をするようになりました。それは鬼嫁とも思えるほど陰湿ないじめでした。夫や息子に分からないようにこっそりと色々な手口でいじめては、彼女を苦しめます。とうとう彼女は嫁への恨み心からストレスが高じて、めまい高血圧糖尿病神経痛関節炎など病気の問屋になってしまいました。

 こんな生活にも努力家の彼女は何年も耐えていましたが、とうとう彼女は命に関わる大病にかかりました。。一体この女性の病気と不幸の原因はどこにあるのでしょうか。それは今から実に数十年もの前に、母から厳しくされたことへの恨みが潜在意識に入って現実化した点にあるのです。知らず知らずに彼女の周りには恨みたくなるような出来事が次々と現れてきたのです。恨み心は恨み事を引き寄せ、悲しい心は悲しい出来事を引きつけ、恐怖心は恐ろしい出来事を招くという原理、これを以前述べた「やまびこの法則」といいます。

 その全く繁多の実例もあります。ある男性のケースは小さな頃母が大病したときの思い出にあります。主治医の先生が名医で、しかも親身になって親切丁寧に母を治療してくれ、そのお陰で難しい病気から回復しました。この時彼の心は感謝の気持でいっぱいになりました。こうして男性は人を助けるということがどんなに素晴らしいことかを実感しました。それが意識の底奥深くに入って、やがて勉強に励み、結局彼は医師となり人助けの道を進むようになったのでした。

 「三つ子の魂、百まで」の諺は生きています。このように潜在意識に深く入った想いは、長い間かかって現実化するという幾多の事実があり、それは健不健、幸不幸に深く関わっているということを知るべきです。

 健康になりたければ、幸せになりたければ、どんなことが起ころうとも、「ありがたい、ありがたい!ありがとう、ありがとう!」と感謝の言葉を口ぐせにすることです。口ぐせは必ず潜在意識の奥深くにしみ込んで、やがては本当にありがたいことばかりが現実に現れる日が必ずやってきます。
           
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