20章 健康と幸福を開くカギ

 人間である以上健康と幸福を願わない人は一人もいません。私たちを作る細胞には核のDNAの中に本来健康で幸せに生きられる様に設計図が折りたたんで組み込まれています。それを開くのはあなた自身です。自分の体は弱いと思っている人は、このことをもう一度深く認識してください。もしあなたが今まで自分は弱い人間だと思っていたとしたら、今日限りその考えは捨てましょう。

 そんなことを言っても現実にはこんなに具合が悪いのだからそんなことは信じられない。それならなぜこんなに病気がいつまでも続くのか、という疑問が出ると思います。

 その答えはこうです。私たち人類の歴史はまさに進化の歴史といっても過言ではありません。昨日より今日、今日より明日へ常に努力を怠らずよりよく生きるための工夫と研究を積み重ねてきました。原始時代火をおこし、農作物を自らの手で作り出し、食べ物を蓄えて、生活を安定させてきました。他の生物から身を守り、天災や幾多の困難を乗り越えて、今日の繁栄を得るまでに至りました。

 それは言葉にすればわずか1〜2行で済んでしまいますが、その陰には何十万年という歳月と数多くの人々の膨大な努力が隠されています。まさに「ローマは一日にして成らず。」「百里の道も一歩から。」です。地道な努力がコツコツと絶え間なく続けられてきたお陰で、今私たちはこうして毎日を生活することができます。

 東洋医学も同じことです。4千年以上の長い年月を、日の目を見ない隠れた先人達も含めた無数の治療家がその研究に心血を注いできました。それはまさに血のにじむような地味な努力であったと思います。私達が東洋医学の恩恵に浴することができるのも、まさにそのお陰です。このことを忘れることはできません。

 私達はヒョッコリ病気が治ったらどんなに嬉しいだろう、何か幸運が棚ボタ式にやって来たらどんなに幸せだろうと考えがちです。事実多くの人はそれが幸福に繋がると考えています。しかしその病気になった原因と生活態度を改善しないでいて病気が治るということは、その人にとってはより重大な病気に転位するという危険を含んでいます。努力なしに大金持ちになりたいからといって財産目当てでした結婚が、苦労のタネが次々と出てきて結局幸福をもたらすことにはならなかったという事例はたくさんあります。

 目には見えないけれども地中にはった根が深く広い大木は、どんな強風にも倒れることはありません。しかし根のはり方が少ない木は一見すると繁茂して見栄えもよさそうですが、台風に会ったらひとたまりもありません。簡単に折れて無常にも消滅することになります。大木には陰に隠された地道に根をはる努力が、底力となって生き続けてゆくことができます。

 病気や幸福は、あなたに地味でもいいから毎日を誠実に明るく努力を続けることを求めています。安易に得られた健康や幸福は、目先ではよいかも知れないけれど、先のことを考えたらあなたにとって真の健康や幸福とはならないということを教えています。

 「成功の陰に努力あり。」今蒔いたタネはすぐには芽を出すことはありませんが、健康への努力を明るく毎日続けることで、いつの日か必ず大きく花開く日がやってきます。

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