21章 誠意をつくして誠実に
英文の手紙を見ると最後に必ず次のような結びの言葉が入っています。
Sincerely yours
これには心からとか誠実に、という意味がこめられています。シンシアsincereは自己に忠実で自分に偽りのない真剣な態度を表す言葉です。ディリジェンスdiligenceは勤勉や普段の努力という意味があります。どちらも今の私たち日本人が忘れかけている、しかし忘れてはならない大切な言葉だと思います。
誰しもともすれば目の前の苦しみから逃れることや、「労少なくして益多し」で安易に楽になることばかりを望みがちです。しかし体には先々のことを考えて最も良い形で病気を治さんがために、高熱が出たり強い痛みを伴うことが多いものです。それを無理に止めようとすると、一時良くなったとしてもぶり返すことがあります。あるいは病気の転位によって、他のもっと重大な疾患が現れるということにもなりかねません。いっとき、易き(やすき)に流されると、思わぬドンデン返しに会いもっと苦労させられることがあります。これを防ぐには自己に誠実に勤勉に不断の努力、たとえば治療や食事療法や生活習慣法などを根気良く続けてゆくことが重要です。今まで無意識に自分の体を粗末にぞんざいに扱っていなかったか一人静かに自省してみたいものです。
ところで、もし今あなたの所有している土地の地下数百メートルに、金銀、ダイヤモンドが数千億円分埋蔵されていると分かったらどうしますか?すぐに掘り出しにかかるのは当然のことです。それがどんなに辛く大変な作業であろうと、一生懸命頑張って働きます。それは宝物を手にしたとき、いかに大きな喜びを得られるかが分かっているからです。
ではそんな地中を掘らなくても、あなた自身の中に「可能性」という財宝が埋蔵されているとしたら早速それを掘り出すべきです。何も他人の持ち物を横取りしたりだまして手に入れなくても、あなたの中にはあなたにしかない宝物がちゃんと秘められているのです。全身50兆個の細胞と1000億個の脳細胞の中に、無限のチカラと可能性という金銀財宝が掘り出してくれるのを待っています。それを掘り出す道具が誠実と勤勉です。これさえあれば誰でも宝物を手に入れることができます。人にも自分にも誠実に愛をだし努力を続けるとき、真の健康と幸福という無限の価値を手に入れることができます。
私の最も尊敬する人物の一人にある税理士の先生がいます。あまりお金にならないのに、どんな面倒な相談ごとにもキチンと誠意を持って誠実に対応しています。それがどんな人にも同じに誠実さが溢れる態度で接しておられるのです。事務所は常に整然と管理されていて、一目で仕事に対する努力と熱意が感じられます。私はいつもその愛の深さと行き届いた仕事振りに感動させられます。誠実さと勤勉と自信と謙虚さを兼ね備えたその人柄は、隠れた当代一流の人物であると思います。それだけの人物でありながら今流行のパフォーマンスなどに流されることなく、むしろより地味に地道に世のため人のために尽くしておられるのです。しかもそのことに喜びをもっておられ満足している点が実に素晴らしいのです。
世知辛い現代では、このような生き方は時代遅れの損な人生だと思われるかも知れません。しかし長いタームでみれば本当はそうではありません。冷静にじっと見つめ直して考えれば、これが本当の「人の道」「人生の王道」を歩む生き方のなのだと教えられます。いくら財産や名誉をかき集めてみても、死んだらこの世にみんなおいてゆかなければならないものです。どんなに豪華な料理でも、それは喉を通過するまでのほんの一瞬の楽しみにすぎません。逆に食べ過ぎれば糖尿病や高脂血症など却って自身の健康に害を及ぼすことさえあります。そう考えると健康と幸福生活への近道は、人にも自分にも誠実に勤勉に愛を出してコツコツ生きるということになります。
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