15章 東洋医学は予測する
「東洋医学は予防医学」ということをどこかでお聞きになったことがあるかも知れません。これは「上工は未病を治す」という言葉からきています。名医は未だ病気として現れていない潜在状態のうちに、治療を施して病気を未然に防ぐという意味です。
私は東洋医学を、気の変動を察知し経絡経穴(ツボ)の状態を調べることで今後の体の推移を予測する医学であると捉えています。将来の展開を予測できれば、病気を未然に防ぎ健康を維持することが可能になるので予防医学にもつながります。
それは単に健康状態だけではありません。気を調べることでその人の運命や将来性をもある程度予測することができると信じています。「東洋医学は気の医学である」ということはすでに述べました。過去の「気」が現在の「体」の状態となって現れ、現在の「気」が将来の「体」の状態を形作る、という考え方です。私たちは生まれてから今日までの出来事すべてを、体が無意識の世界にあるDVDのような記憶媒体に記録しています。それをテレビ画面に再生して見ているのが、現在の健康状態や自分を取り巻く環境すべてであるという考え方です。
気は先天の気と後天の気がありそれが相合して体を形成します。父母から受け継いだ気と自分の努力で獲得した気の総合得点が現在の状況であり、それはツボの硬さや体の硬さや症状によって調べられます。そして現在の状況を把握してその変化を調べてゆけば、将来の動向を占うことができるというものです。東洋医学は占いではありませんから単なる直感だけでは足りません。体から得られる色々なデータに基づいて詳細に分析し、しかも過去の症例から直感を働かせてその人の将来を予測し、その弱点を補強して健康維持に役立てて頂くというのが本旨です。